IT業界の現状

昨年末の忘年会でIT業界で働いている友人からの現状を聞いたのですが、昨年の秋ころから仕事が増え始めたそうです。ただし単金は安いままで儲かる仕事は非常に少なく、へたしたら赤字になるかもしれないものが多いようです。
これはWEB系の引き合いが多いのも原因の一つで、もともとWEB系の仕事は納期が短く金額も安く、さらに作りながら仕様が固まっていくみたいな作業の進め方をするので、ずるずる作業時間が増えていきます。言語自体は簡単なのですが、デザインのセンスという主観的なものまで求められるので割りにあいません。
また中国などへのアウトソーシングもかなり下火になっているようで、これは私が現役だったころも成功した話をほとんど聞いたことがないので納得しました。アウトソーシングは現地にいるブリッジSEに全てが掛かっており、成功するのも失敗するのもブリッジSE次第という非常にリスキーなものです。
不況の国内では非常に安い単金で作業引き受ける会社がいくらでもいるので、わざわざリスクを負ってアウトソーシングをする必要がないのでしょう。もともとITのアウトソーシングは、製造業などのように人件費が日本の数十分の一という割安なものではなく、国内の作業にくらべて金額が3割引きから5割引きくらいだったので、意志疎通の面倒くささやなどを考えるとメリットはほとんどないでしょう。
そうは言っても仕事の無い会社も多いようで、帝国データバンクが15日に発表したソフトウェア会社の倒産件数は2012年に過去13年間の最高を記録しました。
 
<過去13年の倒産件数>
2000年 38件
2001年 51件
2002年 88件
2003年 99件
2004年 86件
2005年 85件
2006年 118件
2007年 134件
2008年 194件
2009年 206件
2010年 175件
2011年 202件
2012年 221件
 
2008年はリーマンショックのあった年ですが、このあたりから倒産件数が跳ね上がり、毎年200件前後で安定するようになりました。
ちなみにソフトウェア会社の設立がもっとも多かった年は2000年で、この年は2000年問題の対応で仕事がくさるほどありました。

今後IT業界に仕事が増える可能性として消費税の増税がありますが、これは3%→5%増税時に設定ファイルまたはデータベース上で数値を変えられるように修正済みのため、テスト作業が多少増えるくらいでしょう。そのあとはだいぶ先ですが2038年の日付問題ぐらいまで思いつきません。
自民党政権は公共事業として裾野の広い土木事業にはお金をつぎ込むでしょうが、IT業界への恩恵はあまりなさそうです。